清涼院流水(作家/英訳者)
危険なほど魅力的なアニメだ。その深淵を覗けば、あと戻りはできない。頭に開けられたドリルホールから、精神の根源「イド」に吸い込まれる。連続殺人鬼の思念がつくる世界で、名探偵は踊る。現代文学の奇蹟・舞城王太郎だからこそ描けた本作は21世紀ミステリーの金字塔であり、日本アニメ史において伝説の作品となるだろう。
乙一(作家)
殺人犯の精神世界の幻想的なビジュアルが凄まじい!
このような【夢】の世界を描きながら、ミステリ的な【論理性】を保ち、謎解きの面白さが描かれているのはすごい。
その二つは共存が難しいはずなのに。
【殺人犯】と【名探偵】が表裏一体の存在として、【夢】と【論理性】を繋いでいるのかもしれない。
小泉徳宏(映画監督)
人間の「殺意」を映像化するという途方もない挑戦に、これほどまで成功した作品があっただろうかイヤ無い。
幻想的。野心的。意欲的。独創的。
この物語の魅力を説明する言葉としてどれも的を射ているし、同時にどんな言葉も的を外す、雲を掴むような摩訶不思議さ。
それに輪を掛ける映像と音楽のシンクロ率の高さよ。
脳が踊り狂ってしまいそうな映像体験をぜひ味わってみてほしい。
ケンモチヒデフミ
綿密に張られた伏線、予想もつかない展開の連続で毎回衝撃を受けています。いつも仕事の合間に見ているのですが、ハラハラしてまったく頭が休まりません笑。私が担当した6話の挿入歌、とても印象的なシーンで使われていて自分でも思わずジンと来てしまいました。こんな面白い作品に携わることができ本当に嬉しく思っています!
sound breakers
イドは、人が考えるという行為の奥にどれだけの無意識が存在し、どのように自分自身に影響を与え、結果として行動に現れているのか…そう考えると少し怖くもなります。
深層心理に侵入し、その人物の核心に迫る面白さや怖さ、随所にあるアンビバレントな要素など、とても楽しみに拝見してます!
starRo
自分の音楽がアニメとどう混ざり合うのか、ものすごく楽しみにしながら作ってきました。
今日ついに見れてドキドキしてます!
永見和也
イドはキャラクターの声の表情、内容、音響効果の一つ一つが、心の奥深い場所を抉るように迫ってきます。だから観るときは集中して気合いを入れています。それぐらい熱量のある作品だと思います。イドの世界観、そして酒井戸というキャラクターにインスピレーションを受けて劇中曲を作らせて頂きました。本当に光栄なことです。アニメも日々楽しみにしながら観させて頂いております。
藤津亮太(アニメ評論家)
『ID:INVATED』のイドはまるで『マクベス』の魔女たちの言葉のようだ。
「バラバラなのに繋がっている」「止まっているのに動いている」「犯人ではない犯人」「愛情と殺意」「進み続ける静止」。矛盾が融合して出来上がった奇妙な世界。
だがのそれは実は現実でも変わらない。イドはそういう意味で“現実の雛形”といえる。探偵となりシリアルキラーを追い詰められるのは連続殺人犯だけ。ニーチェは「怪物と戦う者は、その過程で自分自身も怪物になることのないように」と書いた。
矛盾が融合している現実では彼我の差はそれほど明確なものでないのだ。こうして様々な境界線が次第にゆらぎ、そして視聴者の心はじわじわと侵食されていく。
CUT2月号
圧倒的熱量のもと生み出された新感覚エンタメ作品が新たな時代の扉を開く